◆道場タイムライン第一回「君と僕」1/4
動画:https://www.nicovideo.jp/watch/1304922372
03:15~
小林よしのり/ゴーマニズム宣言も10年以上続くと様々な読者がいる。誤解も多いがゴー宣を読んで政治家になった人も出てきた。
いよいよ日本も混迷の一歩をたどり、閉塞感をなんとかしなければと考えた。
肉声で話し、反応を見たい。道場のコンセプトは身を修め、現場で戦う覚悟を作る公論の場。
公論をしっかり話し合って見抜いていこう。
似顔絵で悪く描きそうにないメンバーを集めた。しかし公論についてはしっかり話し合う。
笹幸恵/お手元のゴー宣道場参加心得に道場のスタンスが集約されています。
07:51~
堀辺正史/ 基調講演「君と僕」 武士の人格覚醒
公論という言葉は19世紀、幕末の日本に出てきた。
江戸時代の道場が公論形成の場として大きな力があった。
笹/予備知識として、会報「文武不岐の侍」創刊号、2号読み上げ。
16:31~
堀辺/一つのテーマは、「文武不岐」。文武両道とは少し違う。
文武を分かたずに修養するのは、幕末期の日本の侍には常識で、そのことが中国や朝鮮半島とは違う欧米への態度につながった。
山鹿素行の特色:日本には王朝交代はない。王道は中国より日本で実現されているのではないか。一番の功績は、源平合戦のころから戦乱が収まるまでの武士の在り方を儒教という概念を借りて士道という形で武士道を体系化した。
山崎闇斎:日本古来の神道と儒学は根本において一致していると説いた。
荻生徂徠:儒教を道徳としてでなく日本の政治制度として読み直した。
本居宣長:国学を誕生させた。
日本のルネサンスが起こっていた。日本のナショナリズムが尊王を中心に形成されていた。
「幕府は覇者じゃないか」古代の武力を用いないで治める「天皇こそが真の王者だ」。
幕末の志士たちの「文」はそういう学問だった。
侍の表芸である「武」に大きな変化があった。
型稽古が形骸化し、面、竹刀、小手が広まりだしてみんな防具をつけて打ち合う試合稽古をするようになった。
道場は特殊な世界で、町役人が侵入して取り調べしたりできない。
道場内では比較的自由に幕府批判もできた。権力の介入を許さない。
試合稽古は実力の世界。侍の間で形式化した身分に疑問が生まれる。剣の実力があれば尊敬せざるを得ず、身分差を超えた交流が生まれ、藩を超えた論議ができた。
武士たちは尊敬する相手に、封建時代は自分の殿様にしか言えなかった「君」という言葉を使い、相互に「君」しもべである「僕」というようになった。
明治維新で四民平等になる前に、江戸時代の志士たちの間で人間は平等が実践されていた。
36:02~
小林/勉強会ではないので、基調講演を踏まえて我々の日常や社会にもたらされる教訓も考えたい。
大河「竜馬がゆく」の影響か、みんな幕末の志士きどりだが、明治は強固な共同体があった。、身内に塁が及ぶかもしれないのに脱藩するような覚悟があるのか怪しい。
ペリー来航から100年後にわしが生まれた。
ペリー来航からたった15年で江戸城開城。戦争論が出て十数年経っているのに何か変わっただろうか。幕末の志士は15年でやった。比べて今の日本の社会はどうか。まだ時代がそのときではないのか。
「平成不況」などと言われるのは天皇陛下も不本意だろう。昭和天皇と比べてどうこうではなく時代。それも背負われている耐え方を我々も学ばなければならないのか、変革のきっかけをつかんで戦わなければならないのか、状況をきっちり把握してどんな公論が立ちあげられるか。全部考えてみよう。
◆道場タイムライン第一回「君と僕」2/4
動画:https://www.nicovideo.jp/watch/so14404183
00:21~
高森明勅/第一回にふさわしい基調講演。
時代が遅いというのは確かに。戦後六十年経って戦後のタブーは微動だにしていない。これだけの歳月日本人は思考停止状態だった。平成の日本人の責任においてどうしていくのか根本から考え直す場にしたい。
討論は人間的な信頼関係があってできる。
07:26~
宮城能彦/戦争論前から変わっってないというのはそうだろうか。
戦争論前は、日本軍は全部悪だった。自分も戦争論を読んだときはかなり悩んだが
世界史を勉強すれば、戦争論に書いてあることは違和感なく読める。
戦争論のインパクト後は、少し停滞感があるが、それで日本がだめなのかというと、日本がダメだと言われない時代もない。世界最古の文章で、「最近の若者はダメだ」と書かれていたというように、現在を否定的に捉えて商売する人がいる。そんなにダメだろうか。
堀辺/年齢でいうと、吉田松陰は、ペリーが来たとき24歳、高杉晋作15歳、西郷隆盛27歳、大体二十歳代。圧倒的に国をおかしいと思っていた。
宮城/職業柄、毎日若い人に失望しつつも希望も持ちたい。小林さんが日本を憂えているが、小林よしのりがゴー宣を描いているから大丈夫と言う。
あまり危機感を煽るのもどうかという問題提起。
高森/戦争論前後で違うというのは大事な指摘。
平成7年、阪神大震災があって村山政権は自衛隊を活用できなかった。村山談話も出た。
平成8年に従軍慰安婦が教科書に載った。第一次安倍政権が靖国参拝をせず短命に終わった。戦後、日本を敵視する潮流を日本人自身が受け継いで拡大再生産してきた流れと、昭和天皇の終戦の詔書を受け継ぐ流れという二つの大きな流れが、今熾烈な綱引きをしている。
笹/その年に社会に出たので平成7年が区切りというのは実感している。
いわゆる保守陣営は、保守として力量を発揮できる状態だったか疑問。
戦争論前後で変わったというのも一面真実だが、右も左もレッテル貼りをしてまだまだ変わらないこともある。
20:41~
堀辺/歴史は一直線ではなく波が錯綜していて、どの波に目が行くかで頭に入る認識は変わる。共通のものを持ちながらも微妙な意見の違いが出るのが公論を形成していく上で大切な話し合い。
幕末に戻ると、処士横議。志士たちは、藩の中の縦の関係でしか討論できなかったが全国横断で論議するようになった。現代も、マスコミがレッテル貼りをしたがり二項対立を煽るが、それだけでは民意の形成や公論の形成はできない。
過去の歴史に学びながら公論形成のための話し方の方法論のようなものを確実にしていきたい。
小林/堀辺さんがいると、幕末当時の価値観がわかって今と比較できる。
「昭和天皇論」を書籍売り場の目立つところに置いていても、論評を避けられる。天皇の非常に重要なところを描いているのに無視されている。どう突破するか。
笹/左も左で、右の連中が議論に出てこないと思っているようだ。
小林/わしズムで、藤原帰一とイラク戦争反対で話をしようとしたら出てこない。
姜尚中ものらなかった。向こうは権威だから。
公論のため、右だけ、保守だけの議論を超えたい。リベラルとも議論する場作りをしていかなければ。
宮城/わしズムに書かせてもらって、読者カードの反応はよくても、ほかから仕事がくることはない。ある意味レッテル貼りをする方が楽。小林よしのりにどうレッテルを貼ればいいかわからないので無視される。誤解も大きい。
小林よしのりはオピニオンリーダーではなく、常に読者をふるいにかけてきた。
36:12~
堀辺/「菊と刀」を語ることは戦後の最大のタブー。小林さんはそこに臨んだ。
天皇陛下の存在があったから、日本は欧米諸国の植民地化を免れられた。短期間で封建制度からの社会変革もできた。
今後も、菊と刀を徹底的に論ずることが必要。将来への展望もくみ取れるのでは。
高森/憲法でいうと、第一章(天皇)と二章(戦争放棄)。
第一章を日本の国柄に照らしてどう理解するか掘り下げれば歴史も天皇もわかるのに小中学校や大学でもスルーされてしまう。
堀辺/君主であるから象徴たりえる。
高森/象徴か君主かではない。
刀=自衛隊もタブーにされてきた。阪神淡路大震災で活用することもできず、タブーにすることで公論の形成を妨げてきた。
◆道場タイムライン第一回「君と僕」3/4
動画:https://www.nicovideo.jp/watch/so14404206
0:20~
高森/自衛隊は軍隊として機能できる公的な環境がない。政治の怠慢。
堀辺/軍事の基本は防御と攻撃。侵略の恐れがあるからと自衛隊の飛行機は民間のものより飛ばない。ばかばかしい税金の使い方。
笹/戦車も有事でも道交法を守らないといけない。
高森/普通の国であれば、軍隊が強いほど安心と思うのではないか。
日本の場合、自衛隊が強くなるほど心配する。よその軍隊が強くなっても気にしない。
堀辺/大東亜戦争について歴史問題が解決していない。それでそういうのが出てくる。
06:52~
小林/少年工科学校の取材をした。まず躾を教えるそうだ。訓練の中で愛国心は育つ。修身の前提があるからできること。
行動する保守の取材に朝日新聞がきたとき、行動する左翼だった団塊の世代に比べりゃかわいいと話したら、真実なのに一言も載らなかった。タブーにされてるものがあるし、保守側もネオナチみたいに思われないように気を付けないと。
中間のコミュニティが崩れて個人個人がネットでつながってる状態。
幕末の人間は足で歩いて肉声で相手を信頼したり疑ったり覚悟を持って議論していた。
ゴー宣道場もネットに公開するが、砂粒の個人がネットで集まる場を作っても公論にならない。共同体の公園の草むしりより国家に向けて吠える方が崇高というのは、公や共同体の感覚が崩れている。躾も修身もできてない、美学がない。
17:03~
宮城/公論の場を作るには、信頼される礼儀などが必要。時と場所も考えずに天下国家を語る人にはなりたくない。
愛国心は学校で教えるものだろうか。家族愛、郷土愛があって自然に愛国心が育つのでは。
堀辺/学校で教えるのは、国家の有無で国民の生活がどうなるか、国家の国際社会での扱われ方の程度によって国民の生活の変化がどうなるかを淡々と教えればよいのではないか。愛国心を前面に教えるのはどうか。
宮城/学校で教えるべきなのは国家とは何か。何のために国家があるのか。現在の国家システムを比べればいい。日本ていい国だなあという一言が愛国心。
小林/日本の利便性で愛国心を教えても問題。砂漠しかない国であっても誇りはあるはず。
日の丸は、国旗として慣習にして身につけさせないといけない。強制撤去はおかしい。
愛国心は共同体から。政治家をダメだと思っても、自分たちの国を何とかしようという感覚が沸き起こるようにしなければ。
堀辺/骨法道場では黒帯から国旗を道着に掲揚できる。日本人の培ってきたものを体得してない人には資格がない。特権としての日の丸、という扱い方もあってよかろうと思う。
宮城/国を比べるのは入り口。日本人でよかったという思いを突き詰めていったり、家庭等の身近なところからの感覚で愛国心を持たないと。上からは違う。
高森/愛国心は出口。持てと言われて持てるものではない。
若者たちには「国を愛する前にトイレのスリッパを揃えろ」と説く。修身。
自分と違う相手も自分もともに凡人にすぎないという、聖徳太子の憲法十七条に出てくる精神を、この道場で発揚できたら。
◆道場タイムライン第一回「君と僕」4/4
動画:https://www.nicovideo.jp/watch/so14404227
01:09~
質問者1(男性)/修身について。祖父が生前国旗を掲揚していた。また掲げようと父に話したらそういう趣味はないと言われた。自分の子供に修身として何かしていかなくてはと思うが、親への修身はどうしたらいいかご意見を。
小林/親御さんの世代だと日の丸への拒否反応がしみついているかもしれない。若い世代の方が抵抗はないのだろう。政治家も世界市民的に染まってる世代がいる。改めて躾けることができるか難しい。
宮城/あきらめた方がいいかも。家庭円満第一。
高森/「葉隠」に人に忠告するときのコツが書かれている。相手に信頼されること。ご尊父が、我が息子ながら立派だと見直してくれたら掲げてもらえるのでは。
小林/お子さんがいるのなら、むりやりあげるのもいい。戦争論を本棚に置いておけば、どうしてそんなに息子は愛国心が強いのか、この悪書のせいかと読むかもしれない。子供のことを理解したいと思うのも親心。そういう手もある。
10:37~
質問者2(男性)/もし学校教育で修身を教えるとしたらどのような授業がいいか。
小林/昔は家庭の躾がちゃんとしてたから修身も教えやすかった。自然にできた。
まず我々や政治家が考えるべきは、壊れてしまった共同体をどう再生できるか。
わしが言う修身は、まずこの共同体の中でのふるまい方、隣の人にどう話しかけるのか、とかから始めるしかない。さっきの国旗の話も、いろいろ出たけどそれを聞いてどうふるまうか考えるのが修身。
高森/どんな無茶な学校教育があっても、家庭、特に母親がしっかりしていれば大丈夫。テレビやネットの情報も家庭が跳ね返す。道徳の根っこは家庭と地元。今はそれがない。
切磋琢磨で、幕末の武道場の人間関係、君と僕から明治維新が出発したように、新しいあるべき日本がゴー宣道場から出発するように場を育てていきたい。
小林/修身というと、普段の生活から聖人君子でなければいけないと錯覚するが、それではつまらない。
おぼっちゃまくんでは、無菌状態に育った子供に、もっと汗のにおいも感じる密着感も描いて新鮮だったのだろう。戦後すぐくらいの子供だったら当たり前のことを描いたのに今はPTAが怒る。人間の猥雑さ、抜け目なさも持たないとこの世界の中で生きていけない。修身といっても、聖人の様に思われたらかなわない。
堀辺/家庭教育のおかげで、戦後教育に染まらずに済んだ。母親の愛情から人間の愛情を学んだし規律も学んだ。修身教育の原点だと思う。
26:22~
質問者3(女性)/三人の子供がいる。躾の一番大事な時期で身につまされる。
家庭が一番というのは非常にそう思う。昔と今の学校で一番の違いは、先生と保護者の立場。PTAがとても強い。学校の先生もやりづらいだろうと思っている。
30:11~
質問者4(男性)/コミュニケーションの問題があると思う。昔はケンカして仲良くなったりもあったと思う。安保闘争も、負けたからってなんでアメリカのいいなりなのかというコミュニケーションではないか。
宮城/足元から始めないといけない。道場もせっかく出会いの場。志を同じくしているわけだしメルアドの交換くらいしてもと思う。もったいない。
高森/戦後のナショナリズムの展開はかなり屈折した動きがあった。保守の言論も屈折してきた。そこを解きほぐしていきたい。
37:03~
質問者5(男性)/戦後の天皇は国民とともにある存在だと思うが、国民が大きく揺らいでいる。国籍法騒動があった。日本国籍法をぜひゴー宣でも描いてほしい。
小林/飛鳥新社から本を出したときに9人政治家に会った。直接政治家に外国人参政権については確認している。一般の人には作品で知らせて、政治家にも会っている。限られた連載の中で何を描くかは戦略的に考えている。
外国人参政権や夫婦別姓に反対すれば保守という紋切り型の在り方を越えようとしている。根底に何があるかまで洞察するために道場を作った。
高森/天皇とともにというのは戦後からではない。大事なことなのでそこだけ申し上げる。
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